溶接工法との
違いと課題DIFFERENCE & PROBLEM
無溶接工法と溶接工法の違いをご紹介します。
溶接組立による鉄筋かごは、ほぼ一体化した重量物といえます。
無溶接工法で組立てられたかごは仮組の重量物と捉えるべきものであり、同じ配筋であっても別物です。
つまり非常に変形しやすく、
取扱がむずかしいものとして捉えなければなりません。
無溶接工法の課題
地震による被害は杭頭部(地表に近い部分)に起こるので、杭頭部の鉄筋は太く密集していますが、地中深くなるにつれて、鉄筋が細く本数が少ない配筋が一般的です。
多発する地震を受け、これまでよりも杭頭部の鉄筋量が多くなる傾向にあります。このように場所打ち杭の鉄筋は、ちょうど地上の柱の鉄筋をひっくり返したような非常に不安定なものですが、杭の施工中には、この不安定な状態で自立放置させる場面があります。
オールケーシング工法では、コンクリート打設途中にケーシングを引抜き切り離しますが、この際の自立状態時に、鉄筋自重やコンクリートの沈下に伴い、鉄筋の座屈が発生しやすくなります。
鉄筋重量増の面では、アースドリル工法のような常時吊筋作業をする工法も含めて、吊荷重が無溶接金具で保持できるかどうかが問題となります。
座屈・吊荷重のどちらも、鉄筋かごを杭孔に建て込む作業は、作業員が直に鉄筋かごに触れながら行う場面もありますので、死傷事故に直結する重要課題といえます。
無溶接金具固定の大前提
無溶接部材固定の欠点
無溶接部材固定は、従来溶接工法との比較で ①固定力が弱い ②固定位置がズレる ③一体化しない という欠点が、工法を問わずにあることを前提としなければなりません。
無溶接工法において、「大丈夫」「強い」などと謳うのは、発注者・施工者に対して誇張だけでなく、重大な告知義務違反といえます。